2025年9月の記事一覧
校長室のひとりごと「オーバードーズ」
「オーバードーズ」という言葉をご存じでしょうか。若者を中心に精神的苦痛から逃れたり、多幸感や高揚感を得るために、市販薬や処方薬を過剰摂取することです。近年この「オーバードーズ」問題がクローズアップされています。2024年度の厚生労働省調べ(中学生約3万8千人)によると、過去一年間にオーバードーズの経験がある中学生は1.8%(55人に1人)と推定されると公表されました。調査をとりまとめた「国立精神・神経医療研究センター」によると、過去一年間に市販薬を「ハイになるため」「気分を変えるため」に定められた回数や量を超えて使用したことがあるかどうかを聞き、乱用経験率を算出したもので、男子の1.5%、女子の2.0%で全体では1.8%がオーバードーズの経験があると回答したそうです。学年別では中学1年の2.1%、2年生の1.8%、3年生の1.6%、また薬の入手先としては、薬局・ドラッグストアが64.2%、家にある常備薬が33.3%という結果でした。乱用経験のある生徒は、経験のない生徒に比べ「学校が楽しくない」「相談できる友達がいない」「悩み事があっても親には相談しない」との回答が多く、日常や学校生活での「生きづらさ」が影響している傾向が見られたそうです。
ちなみに前回の本調査は2021年、対象が高校生で結果は1.6%(60人に1人)だったことから、ここ数年でオーバードーズの「広がり」「低年齢化」の傾向が数値として表れた結果です。
校長室のひとりごと「自分には良いところがある」
4月に行われた中学3年生対象の「全国学力学習状況調査」の結果が7月下旬に戻ってきました。今年行われた国語・数学・理科の結果をもとに先生方が今、詳細を分析しており今後の学習に役立てようとしているところです。校長である私は、教科の調査結果はもちろんですが、毎年「生徒質問」の結果に注視し学校経営に反映させています。例えば「自分には良いところがあると思いますか?」というような自己肯定感を問う質問の本校、また野田市の回答結果です。残念ながらこれまで全国平均や千葉県平均に比べ「そう思う」と回答する割合が、野田市・本校ともに少ない現状がありました。生徒達の将来にとって「自分は出来る」「良いところがある」という自己肯定感を持つことは何よりも大切なことだと考えています。日頃より「どんな小さなことでも見逃さず褒め、認めてあげましょう」と先生方に話してきました。調査対象の学年は毎年変わるため一概にその成果が現れたとは言えませんが、今年は「自分には良いところがある」の設問で全国、千葉県平均ともに「そう思う」が約40%に対して本校は46%。また「先生はあなたの良いところを認めていますか?」では「そう思う」が全国が約46%、千葉県が約47%に対し、本校は約55%とどちらも大きく上回る結果でした。この調査結果に甘んじることなく、本校生徒全員が「自分は出来る」「良いところがある」と思えるように取り組んでいこうと思います。
校長室のひとりごと「生徒会長に10万円?」
毎年秋になると多くの中学校で「生徒会役員改選」が行われます。生徒会長を含め本部役員の任期は一年、1.2年生の秋に改選され翌年度の秋まで、つまり現2.3年生中心から1.2年生中心の生徒会役員へ引き継ぐための選挙です。ちなみに本校では9月30日に立候補者の立ち会い演説を行い、その後全校生徒による選挙が行われます。そして後期より新生徒会長はじめ役員をリーダーとした生徒会活動が始まるわけです。
そんな中学校の生徒会役員の改選を前に、滋賀県彦根市の新たな珍しい取り組みが話題になっています。彦根市にある7中学校の「新生徒会長に10万円を交付する」というのです。キャッチコピーは「彦根の中学生が地域・社会を変える!」で、詳細を見ると、この10万円は生徒会長への小遣いではなく、生徒会長に立候補した際に公約を発表し、見事生徒会長に当選すれば、その10万円を元手に公約を実現させるという斬新な取り組みです。一般的に中学校の生徒会活動に対しては「形式的な活動で自由度が少ない」「やりたいことがあっても予算など金銭的な壁で実現できない」などの意見が多く、こうした生徒達の思いを応援するための今回の企画で、そのための予算は既にクラウドファンディングで目標額が集まっているということです。実際に立候補者が、どういった公約を唱えるのかとても興味があります。
校長室のひとりごと「1年で90万人減」
「82億3200万」。何の数字でしょう。世界の人口です。昨年の「81億1900万人」から1年間で1億1300万人増加したことからもおわかりのように、地球上の人口は増加の一途をたどっています。国連の推計では2037年には90億人、2061年には100億人を超えると予想しています。
先日、総務省は日本の人口について調査結果を公表しました。2025年1月1日現在日本の人口は「1億2065万3227人」と昨年度より90万人減と過去最大の減少でした。世界的に人口が増加している一方、日本では少子高齢化が深刻で減少の傾向は今後も続きそうです。総務省は来年にも1億2000万人を割り込むと予想しています。この人口統計には、国内滞在期間3ヶ月以上の外国人も含んでおり、対象の外国人は35万4000人増え、日本の人口のうち367万7463が外国人だそうです。
また人口の推移を都道府県別で見ると東京都以外の46道府県で減少し、千葉県では2万5709人減少で608万4566人と減少率は0.42%です。この減少率が最も高いのが秋田県で1.91%、次いで青森県の1.72%、高知県の1.71%です。
日本の少子高齢化による人口減少もそうですが、いわゆる「生産年齢(15歳から65歳)」の減少も大きな問題の一つとなっています。
校長室のひとりごと「猛暑にメリットは?」
久しぶりの雨で少しは涼しく(と言っても30℃超え)なったのも束の間、まだまだ暑い日は続き今年29回目の猛暑日予報が出ています。こう暑いと思考回路も混乱気味で妙なことを考えてしまいます。例えば、この暑さを語るのに「秋になっても夏のような暑さ」と言うべきか「今年の夏は長いな」と言うべきか・・・ どうでも良いことですがこの暑さのから、そんなことを考えてしまいます。
一般的に日照時間が延びる夏は外出の機会も増え消費が拡大すると言われていますが、今年の暑さは尋常ではなく、日照時間の長ささえデメリットとなり外出すら控えてしまいます。熱中症の危険性、暑さの影響での火災、車のトラブル、米や農作物の生育不良、エアコンの稼働しっぱなしの電気代の負担の増加など、どうしてもこの暑さをネガティブにとらえてしまいます。ではまだ続くこの暑さをポジティブに捉えるために何か暑さによるメリット、良いことはあるのでしょうか。一般的にはアイスクリームやビール、飲料水といった「夏物消費」が増えるわけですが、生産者にはメリットかもしれませんが、私のような一般人にとってのメリットではありません。強いて挙げるのであれば、我が家の太陽光発電がたくさん発電し蓄電してくれていること、暑すぎて「蚊」や「害虫」が少ないなどはメリットかもしれません。
ちなみに、この夏沖縄では猛暑日が一日もないそうです。
校長室のひとりごと「スマホ使用制限条例」
愛知県豊明市の市長が「スマホの使用は一日2時間まで」と促す条例案を9月市議会に提案すると話題になっています。この条例案は「市民(特に子ども)の、睡眠時間を十分に確保することが心身の成長に不可欠」だという考えからだそうです。厚労省のデータなどを参考とし「一日2時間」となったそうですが、関連報道の街頭インタビューでは、一日に14時間使用しているなど軒並み10時間超えの若者の実態が報じられていました。もちろん2時間以内やほとんど使用しないという例もあるでしょうが、大人として10時間超えはやはり心配です。
近年、諸外国ではSNS規制の動きが加速しています。オーストラリアでは16歳未満の子どものSNS利用を原則禁止にする法律が施行され、EUでも「15歳未満のSNS利用禁止」が提案されており、EU全体での規制の可能性もあります。確かに中学生をはじめ若者は食事中も寝る前ベットに入っても、時間があればSNSや動画がひっきりなしに繋がっていたり見ている現状があります。
スマホやSNSが一概に「悪」だとは決して思いませんが、やはり子ども達には使用時間や使用内容を含め節度ある使用をさせなくてはなりません。中学生であれば、やはり契約者である保護者の理解なくしては子ども健康、SNS被害などから守ることができないでしょう。それが叶わないからこその「条例や法律」の施行に発展してしまうのでしょう。
校長室のひとりごと「夏休みの宿題とAI」
夏休みの思い出と言えば、ラジオ体操で一日が始まり、暗くなるまで汗だくで遊ぶ。プールに行き真っ黒に日焼けし、日焼け具合を競ったりしていましたが、それも遠い過去のこと。今は「熱中症警戒アラート」が発表され屋外での活動がそもそも出来ず、プールに入るときも日焼けを防ぐなど様々な理由でラッシュガードなどで肌を覆うのが当たり前に… 時代の流れを実感します。子ども達の夏休みの変化を感じるもう一つが「宿題」です。ある調査では、34%(3人に1人)の子どもが夏休みの宿題に「人工知能AI」を利用しているというのです。ではどんな課題にAIを使っているかというと「ワークのわからないところを聞く」「自由研究で参考にする」などは想定内ですが、「作文・論文」「読書感想文」にAIを利用し、そのまま写している子どももいるようです。何より驚かされるのが「絵日記や絵画」などに「画像生成AI」を利用し、そのAIが作成した絵を更に「子どもっぽく」「小学生らしく」と更にAIを利用し、いかにも子どもの絵のように加工している例もあるようです。
近年どこの学校でも宿題の量を減らしています。単に「書き写せば…」というような思考を伴わない課題を減らし、点数などで表せない「物事に対する考え方、取り組む姿勢、行動」など日常生活に役立つ能力「非認知能力」を養う課題に重きを置いているためです。非認知能力を養う課題、つまり「作文・論文」「読書感想文」「絵日記・絵画」までも一つの作業をこなすかのようにAIを頼るのはいかがものなのでしょうか。
校長室のひとりごと「最も暑い夏」
「今年の夏は暑かったな~」と過去形で話す前に9月になっても暑い日が続いています。気象庁がこの夏(6月7月8月)の暑さについて1898年の統計開始以降「最も暑い夏」だったと発表しました。国内最高気温記録が塗り替えられたり、最高気温35℃以上の「猛暑日」の地点も過去最多になるなど「異常な高温」だと関係者は話しています。
また、都市化の影響が少ない長期間観測が行われてきた全国15カ所の、この夏の平均気温を分析した結果、過去30年間の平均値より「2.36℃」もこの夏は高く、過去最高だった昨年、一昨年よりも1.76℃と大幅に上回っていたそうです。地域別で見ると特に北日本が例年より高温で、平年より3.4℃上回り、北海道だけで見ると3.7℃上回ったそうです。全国どこも暑く、予報最高気温が一番低いのは「沖縄」なんて天気予報もあったくらいです。この「暑すぎる夏」の要因は、大きく地球温暖化なわけですが、今夏はその温暖化の影響を受けた偏西風が大きく蛇行し熱帯の暖気が日本に流れ込んできていること、高気圧続きで熱い空気が地表に押しつけられ夜でも気温が下がらないことなどが上げられるそうです。
野田市は数年前まで9月の第2土曜日に体育祭を行っていましたが、今は学校ごとに10月にずらして開催しています。この暑さではやっぱり9月の体育祭は無理ですよね…
校長室のひとりごと「不審者対応訓練」
今日も朝から暑いですね。昨日9月1日は「防災の日」でした。1923年9月1日の関東大震災に由来しています。「防災の日」には学校はもちろん全国的に避難訓練や防災に関わる催しが行われました。例年本校でも、大地震発生、それに伴った火災発生を想定した避難訓練を実施してきましたが、今年は、校内に凶器を持った「不審者」が侵入したことを想定した避難訓練を実施しました。今年5月、立川市の小学校に保護者(母親)の知人2名が教室押し入った事件は記憶に新しいところです。「池田小学校事件」以来、何度となく学校に不審者侵入事件は全国で発生しており、どこの学校でも「不審者対応マニュアル」というものを作成し、年度はじめの職員会議で確認しています。「いざ」という時に先生方がマニュアル通りに動けるのか、生徒たちの命を守れるのか、というと少し疑問が残ります。そこで今回は不審者侵入を想定し、教員も生徒たちもどう動き、どう安全を確保し、関係機関とどう連携をとるべきなのかを訓練したわけです。
昨日の訓練では、先生方が自分の役目を再認識し、生徒の安全を確保し、速やかに体育館に避難させること、また生徒たちも整然と速やかに移動する動きが確認できました。機能の訓練では予めシナリオがありましたが、いざという時に命を守るための行動を考え行動できるように訓練を重ねたいと思います。
校長室のひとりごと「今日から9月」
本当に暑かった今年の夏休み。大きな事件事故もなく、今日から学校が再開しました。この「校長室のひとりごと」も今日からまた更新していきます。引き続きご愛読いただければと思います。今年は(も)雨も少なく連日記録的な暑い日が続き昼間の陽射しがこたえ外に出るのも億劫になってしまったのは私だけでないようで、昼間に歩いている人、外で遊んでいる子どもたちも随分少なかったように感じました。いつも以上に暑かった夏、皆さん体調など崩されていませんか。
ところで、冒頭に「暑かった夏休み」と書きましたが、今日も朝から暑く予報ではこの暑さはまだまだ続くようで、また9月10月も暑さはしばらく続き、「秋らしい秋」がなく寒くなりそうだと長期的な予報も出されています。
子供たちだけではなく、我々大人も猛暑の夏で体力が落ちてしまっています。まずは生活リズムをしっかりと取り戻し、今日から再開した学校生活を健康に送れるようにしていきたいと思います。