校長室のひとりごと「オーバードーズ」
「オーバードーズ」という言葉をご存じでしょうか。若者を中心に精神的苦痛から逃れたり、多幸感や高揚感を得るために、市販薬や処方薬を過剰摂取することです。近年この「オーバードーズ」問題がクローズアップされています。2024年度の厚生労働省調べ(中学生約3万8千人)によると、過去一年間にオーバードーズの経験がある中学生は1.8%(55人に1人)と推定されると公表されました。調査をとりまとめた「国立精神・神経医療研究センター」によると、過去一年間に市販薬を「ハイになるため」「気分を変えるため」に定められた回数や量を超えて使用したことがあるかどうかを聞き、乱用経験率を算出したもので、男子の1.5%、女子の2.0%で全体では1.8%がオーバードーズの経験があると回答したそうです。学年別では中学1年の2.1%、2年生の1.8%、3年生の1.6%、また薬の入手先としては、薬局・ドラッグストアが64.2%、家にある常備薬が33.3%という結果でした。乱用経験のある生徒は、経験のない生徒に比べ「学校が楽しくない」「相談できる友達がいない」「悩み事があっても親には相談しない」との回答が多く、日常や学校生活での「生きづらさ」が影響している傾向が見られたそうです。
ちなみに前回の本調査は2021年、対象が高校生で結果は1.6%(60人に1人)だったことから、ここ数年でオーバードーズの「広がり」「低年齢化」の傾向が数値として表れた結果です。