学校長の窓

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平成25年度第6回朝会講話「“おもてなし”の心について考える」

 2020年の東京オリンピック誘致のプレゼンテーションで、「おもてなし」の心は、海外の方々に大きな影響があったと報道されています。「おもてなし」を世界中に広げたのが、滝川クリステルさんです。「東京はみなさまをユニークにお迎えします。日本語で“おもてなし”と表現します。それは、訪れる人を慈しみ見返りを求めない深い意味があります」 という言葉から始まりました。滝川さんは流暢なフランスで、にこやかにスピーチをしました。
  この「おもてなし」は、英語では「hospitality」と訳されることがありますが、「hospitality」という単語では十分に言い表せないものだと思います。 つまり、的確な言葉は外国語には存在しないように思います。

 ここで、日本の「おもてなし」を最も象徴する一例を紹介します。
 それは、石田三成の「三献(さんこん)の茶」です。これは、豊臣秀吉と初めて出会った際の逸話として伝えられるものです。長浜城主となった羽柴秀吉(豊臣秀吉)は、鷹狩りの途中に喉の渇きを覚えて、観音寺に立ち寄り茶を求めたそうです。石田三成は、その寺の小僧でした。

 三成は、汗だくの秀吉を見て、最初に大きな茶碗にぬるめの茶をたっぷり入れて差し出しました。喉の渇いていた秀吉は、一気に飲み干しました。そして、秀吉は二杯目を所望しました。三成は、一杯目より少し熱いお茶を半分だけ入れて差し出しました。秀吉は、試しにもう一杯所望しました。今度は小さな湯飲みに熱いお茶を差し出しました。秀吉はこの三成の相手を思いやる心に感心しました。それから、三成は秀吉に召抱えられることになりました。その後、五奉行の一人となるまで出世しました。
 この逸話は、「三献の茶」として後世に伝わる三成の「おもてなし」です。

 日本では、「おもてなし」という言葉は、日常でもよく使われています。大切なことは、「相手の気持ちになって、思いやる気持ちで」おもてなしをすることだと思います。例えば、学校に来られる方がどこに行けばよいかわからないで困っているとき、「こちらです。御案内します。」と笑顔で声を掛けられたら、どれほどうれしいことでしょう。益子中らしい「おもてなし」になるだろうと思います。

 これから「一期一会」を大切にして、「おもてなし」の言葉を増やしていきましょう。終わります。