ほごログ(文化財課ブログ)

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《受講者求ム》世界で一つだけの桐の貯金箱をつくりませんか?

春日部市郷土資料館では、体験講座「桐のオリジナル貯金箱をつくろう」を11月12日(日)に開催します。講座では、まちの伝統産業の #桐箱 づくりのスペシャリストたちに指導していただきます。 #かすかべプラスワン

桐といったら春日部。春日部といったら桐。古くから春日部は桐細工産業のまちとして栄え、今日にいたっています。郷土資料館の体験講座「桐のオリジナル貯金箱をつくろう」では、伝統的な技術を伝える桐箱製造の業者さん、職人さんたちの指導のもと、桐の貯金箱づくりを体験してもらいます。

「伝統的ってなんだか作るのがむずかしそう」と思った方へ。

職人さんたちがやさしく丁寧に指導していただけます。幼稚園のお子さんでも、おつくりいただけますのでご安心を。

「オリジナルってどんなの?」と思った方へ。

貯金箱の背板を当日、職人さんたちが切りぬいてくださいますので、背板は好きな絵や図柄になります。ここがオリジナル。後日色付けをしていただければ、世界で一つだけの桐の貯金箱になるのです。

 郷土資料館の「桐の貯金箱づくり」は、もう恒例の講座で今年で3回目になります。昨年の様子はここからご覧いただけます。皆さん、自分の貯金箱ができてうれしそう。

ただいま、受講者絶賛募集中!お子さんだけでなく、大人の方でも歓迎です。電子申請でもお申込みいただけますので、ぜひ。

日時:令和5年11月12日(日)午後2時~4時

場所:春日部市教育センター2階 視聴覚ホール

費用:一人900円(当日徴収)

定員:20名

申込:郷土資料館まで電話(048-763-2455)、もしくは直接、または電子申請

 

春日部の子どもたちと #関東大震災 (その3)

現在開催中のミニ展示を少し詳しく紹介するシリーズ。粕壁小学校に遺された児童作文集から、100年前の子どもたちと関東大震災について紹介しています。その3は被災後の生活。 #関東大震災100年

大きな揺れがあったとき、みなさんは何をしますか?

先日9月1日の防災の日には「シェイクアウト埼玉」という防災訓練キャンペーンが県内で実施されました。これによれば、「まず低く」「頭を守り」「動かない」という安全確保行動をとることが、大事なのだそうです。

それでは、粕壁町の人たちは関東大震災の大きな揺れが起きたとき、どのような行動をとったのでしょうか。いくつか、小学生の作文を引用してみましょう。

 

・・・それでなか(東武座)にはいっていますと、おとこのこが地震んだといって、せはぎ(騒ぎ)はじめました。それで私はいちまくさん(一目散)にかけてでました。そうして、でんしんばしらにつかまっていました。すると、あんちゃんがむかへにきました。(四年女子)

 

みんなでべんきゃうをしていました。するとおばさんが地震ですよといったので、みんながとびだしました。(四年女子)

 

・・・余震は後を絶へませんでした。其の度毎に桐の木(に脱か)つかまり、電柱につかまつたりしてゐました。(高等科男子)

 

粕壁町では、大きな揺れがあり、多くの建物が全壊・半壊しました。かろうじて崩れなかった家屋でも傾いていたり、つっかえ棒をして、かろうじて建っている家もあったり、小さな揺れが続いたため、建物の中に居ることは危険と判断されたようです。粕壁の人たちは、とっさに建物から飛び出し、町並みの「往還」(春日部大通り)には、電信柱が立っていましたので、町場の人は電信柱に、農村の地区や裏に庭がある家では大きな木につかまり、また竹藪などに逃げ込んで、揺れをしのいだようです。桐の木が登場するあたりが、桐ダンスや桐箱作りが盛んだった粕壁の特徴ともいえましょうか。

避難した人たちはその後、どのように生活をおくることになったのでしょうか。再び、小学生の作文をみてみましょう。

 

よるになると、じしんが来てつぶされてはいけまいとおもって、ねてゐられませんから、おもてへえんだいをもちだして、そとであそんでゐました。(四年男子)

えんだいをだして、ふとんとどてらをもってきてそとでねた(三年女子)

うすべりをしいて、その上にのっかっていました。(三年女子)

ほったて小屋をこしらえて、そこでねた(三年男子)

 

地震後の数日間は、外で過ごす人も多かったようです。ほったて小屋をつくって過ごす人もいましたが、作文で多いのは「えんだい」を置いて、その上で過ごしたというものです。「えんだい」とは腰掛けをする「縁台」のことでしょう。

かつて町場での市では、路地に「高見世」と呼ばれる板縁台を置いて、商売をしたといわれています(飯能市立博物館特別展図録『飯能縄市』)。「縁台」というとベンチ・腰掛けをイメージしますが、ここにみる「縁台」は商品を並べる陳列台を指しているものなのかもしれません。作文に「縁台」が多く登場するのは、粕壁も古くから市が開かれた宿場町だったから、かもしれません。

とはいえ、「縁台」のみならず、「薄縁」や「筵」をひいた家もありました。外では蚊帳(かや)をつって過ごしたことも作文に記されています。家が倒壊してしまった人たちは、知り合い・近所の家に泊めてもらったり、被害の少なかった百間(現宮代町)や内牧(市内)、徳力(現さいたま市岩槻区)の親戚の家に疎開する人もいたようです。

 私どもは、二三日まい(前)の桐畑ニねました。(五年女子)

上の女の子は、桐畑で数日過ごしたようです。 数日間、家によっては一週間くらいは外で過ごす人もいたようです。

ここでも「桐」が登場。これまで文献ではよくわからなかった桐畑の存在が、子どもたちの作文に記され、町の産業を物語る史料としても重要です。

 

少し脱線してしまいましたが、作文では、地震の後の暮らしも詳しく記されています。10月8日(日)には、児童の作文を読み解く歴史文化講演会も準備しています。ぜひ、ご参加ください。

日時:令和5年10月8日(日)14時~16時

会場:春日部市教育センター

定員:80名(先着順・申込制)

費用:無料

申込:郷土資料館まで直接、または電話、または電子申請

 

【 #春日部の特産品 】オリジナル桐の貯金箱づくり【 #桐箱 】

11月20日(日)郷土資料館体験講座でオリジナル桐の貯金箱づくりをしました。講師は、市内で桐箱・桐製品製造をされている春日部桐箱工業協同組合の皆さまです。 #かすかべプラスワン

写真:講師の皆さま

ご承知の通り、春日部の桐箱づくりは、江戸時代からの地場産業です。桐箱は特産品の一つとして数えれられています。板を圧着するときには万力(かつては縄)で固定したり、仕上げの工程は丁寧にやすり掛けをしたり、様々な工程を経て、質の高い春日部の桐箱が製造されています。

今回の貯金箱づくりは、桐板に糊(ボンド)をつけながら、箱をつくりました。作業自体は、講師のみなさんの丁寧なご指導もあり、難しくありませんが、ボンドが乾くまで、輪ゴムで固定したり、丁寧にやすり掛けしたり、落し蓋の仕掛けがあったり、実は、春日部伝統の桐箱づくりの「わざ」が凝縮されているのです(と見ていて思いました!)。

講師の皆さんは、子どもたちに、効率よく、かつ丁寧に、そして楽しんで箱をつくることを教えていらっしゃいました。伝統の技を受け継ぐ皆さんに指導してもらうこと、大変貴重な体験だったんですよ!

写真:指導される子どもたち

貯金箱は、背板の部分をアレンジできるようになっており、好きなイラスト・デザインを描いて、職人さんに電ノコで切り抜いていただきます。

子どもたちは、アニメだったり、ゲームだったり、好きなキャラクターを描いていました。ポケモンが多かった様子。大人の方は、最後まで何を描こうか迷っていらっしゃいました。

兄弟で完成品とともに記念撮影。お兄ちゃんはにゃんこ大戦争、弟くんはポケモンのモンスターボールだそうです。

写真:兄弟で完成品

もう一人、袋に隠れていますが、お金のマークを描いてくれました。お金が貯まるといいですね!

写真:完成品(お金の貯金箱)

おうちに帰って、よくやすり掛けをしてもらって、色つけ、絵付けをすれば完成です。

職人さんから、おうちに帰ってツルツルになるまでやすり掛けをするように教えられた男の子は、見本の貯金場や桐箱製品を触って「すげー、ツルツルだ!」と感動していました。

講座を通じて、春日部の桐箱のスゴさも同時に知る機会になれば、大変うれしいです。

写真:桐箱をさわる子どもたち

アンケートでは、「難しかったけど、とても楽しかった!」「やすりで磨いたら桐の美しさがでてきれいにできた」「桐の特性がわかりました」などの感想をいただきました。引き出しや、ティッシュケースなど、ほかの桐箱製品も作ってみたいという声もあがりました。

講師の皆さま、参加者の皆さま、ありがとうございました。

最後に宣伝です。春日部駅東口にて、3年ぶりに「押絵羽子板と特産品まつり」を12月22日、23日に開催するそうです。桐箱工業協同組合のみなさんも出店されるそうです。ぜひ、お手にとって桐箱の良さを感じていただけれと思います。

チラシ画像

収蔵資料の紹介ページ公開しています

かつて公開していた当館収蔵資料の紹介ページを、本ポータルサイトに再構築しました。 #かすかべプラスワン

収蔵資料紹介ページは、郷土資料館で収蔵する指定文化財、収蔵品展などで紹介した資料の情報を公開するものです。近年は博物館実習生に資料紹介ページの記述をお願いしており、実習の成果でもあります。

市のホームページにも移行する予定だったのですが、事情があり、公開を控えていましたが、ようやくページの移行作業を終えることとなりました。ただ、文字数の制限等があり、解説や語注などをだいぶスリムにしているものもあります。

収蔵資料にはたとえばこんなのがあります。

桐タンス・桐箱問屋・製造の木崎六之助商店の取引先名簿です。

詳しくは該当ページをご覧ください。実習生が制作したページです。

写真:木崎六之助商店の取引名簿

収蔵資料紹介ページは、このページのメニューバーの「郷土資料館」から、「収蔵資料の紹介」でご覧いただけます。

どれだけの方がご覧になっているのか不明ですが、お気に入りの資料があれば、いいねボタンをご投票ください。担当者のページ構築の励みになりますので。。。

今後は、昨年度、今年度の実習生の収蔵資料紹介を公開していく予定です。お楽しみに。

【プレ夏季展示最終回】常設展とロビーにハミ出し展示

いよいよ7月20日から始まる夏季展示「語り出したらキリがない!桐のまち春日部」展のプレ展示第3弾(事実上の最終回)です。まもなく、夏季展示が始まるので、今回は大きくハミ出しました。まず、常設展の展示ケースを展示替えです。夏季展示の関連資料を陳列しました。

写真:常設展のケース

 テーマは「桐箪笥・桐箱の流通・消費を考える」です。

今回の企画展示では、製造の工程や春日部の桐産業の展開を中心に紹介しています。これまでの成果も基本はその大枠を出るものではなかったと思います。生産量が増え、「桐のまち」へと成長していくのは自明のことですが、ではその需要はどこにあったのか。このハミ出し展示では、桐箪笥・桐箱の流通・消費のあり方を考える様々な史料を展示しました。ハミ出しており、一見、企画展示の本筋ではないようですが、実は本展示の核心的なテーマだったりします。資料の都合上、明治以降が中心となりますが、江戸時代にも遡って考えられるのではないか、と考えています。お見逃しなきよう。

もう一つは、ロビーのパネル展。

写真:ロビーのパネル展

ここには、「語り出したらキリがない、けど語らせて」と題し、今回の聞き取り調査、資料調査で得た「小咄」をコラム的に紹介しています。以前、紹介した藤塚橋の桐の木など、ちょっとした小ネタを余すところなく紹介しています。ミュージアムトークのネタが無くなってしまうかもしれません。企画展示室内にも同様のコーナーがありますが、パネルに貼りきれなかったので、ハミ出しました。

今回は、職人さんをはじめ、色々な方にご協力をいただいたので、手前味噌ですが本当に充実しています。展示は7月20日(火)から、いよいよ始まります。ご期待ください。

なお、開会後、最初の催し物として、展示解説講座「史料にみる春日部の桐産業」を以下の通り開催します。あわせてご利用ください。

日時:令和3年7月25日(日)午前10時~12時

会場:春日部市教育センター2階 視聴覚ホール

定員:30名

費用:無料

申込:郷土資料館へ直接、または電話。