ほごログ(文化財課ブログ)

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塚内4号墳出土遺物ー指定文化財でめぐる春日部

現在第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」開催中です。
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。

内牧の小字「塚内」には、19基の古墳からなる古墳群があり、内牧塚内古墳群と呼んでいます。春日部市指定文化財「塚内4号墳出土遺物」は、昭和52年(1977)に行なわれた内牧塚内4号墳の墳丘部分の発掘調査で出土したもので、鉄刀、鉄鏃、ガラス小玉、須恵器壺、人物埴輪、円筒埴輪、朝顔形埴輪からなります。
鉄刀は3振りが出土し、それぞれ全長が32.5㎝、100.3㎝、95.6㎝の長さです。埼玉古墳群の稲荷山古墳から出土した有名な「金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)」は、諸刃(もろは)の「剣」ですが、塚内4号墳のものは片刃の「刀」です。また長いものは、平安時代ごろ登場する反りがある「日本刀」ではなく、反りがない直刀(ちょくとう)です。
いずれも木の残存物が付着しているので、副葬された当時は、木製の柄(つか)が付けられ、木製の鞘(さや)におさめられていたものと考えられます。

4号墳出土直刀
塚内4号墳出土の刀

6月29日(土)14時から、第60回企画展示記念講演会として、講師に、杉崎茂樹先生(春日部市文化財保護審議委員)をお招きし、塚内古墳群などの市内の史跡・考古資料の指定文化財についてご講演いただきます。
ぜひご来場ください。

記念講演会「春日部の指定文化財―史跡と考古資料」

 日時:令和元年6月29日(土)14時~16時
 場所:春日部市教育センター
 定員:100名(先着順)
 費用:無料
 郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」講演会チラシ

米島貝塚出土黒浜式土器ー指定文化財でめぐる春日部

現在第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」開催中です。
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。

米島貝塚(こめじまかいづか)は、市域東部の米島地区、下総(しもうさ)台地上に立地します。
昭和36年(1961)に、住宅地造成に先立って行われた発掘調査では、12軒の竪穴住居跡が発見され、住居跡が埋まっていく際に、貝が捨てられたことにより、貝塚をともなっているものもありました。
これらの住居跡からは、蓮田市の黒浜貝塚出土土器をもとに設定された黒浜式土器と同型式の土器が多く出土しました。米島貝塚では、黒浜式土器の中でも、古い要素をもつ一群と新しい要素をもつ一群が出土していたことから、報告書では、黒浜式土器の時間的な移り変わりが研究され、学史に貢献しています。

米島貝塚昭和36年調査風景
昭和36年発掘調査の状況

10号住居跡の貝層
米島貝塚10号住居跡の貝層

米島貝塚出土黒浜式土器
米島貝塚出土黒浜式土器

展示解説講座「春日部と円空」を開催しました

現在第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」開催中です。
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。

6月23日(日)、展示解説講座「春日部と円空」を開催しました。
現在開催している第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」では、郷土資料館でお預かりしている円空仏3体を展示しています。

講座では、円空仏の中でもその大きさと完成度の高さで知られる小淵山観音院の円空仏や円空の生涯、修験寺院と円空のかかわりなどについて解説しました。
市内の方だけではなく、市外からも大変多くの方にご参加いただき、円空の人気を再確認いたしました。

講座の様子

「やったり踊り」の練習が進んでいます

 6月21日(土)、梅雨半ばの不安定な天候の中、武里地区の大畑会館では児童生徒の高らかな「ヤッタリナー、ヤッタリナー」の掛け声が響きわたっていました。
 7月13日(土)午後8時から大畑香取神社で例祭が開催される、埼玉県指定無形民俗文化財『やったり踊り』の練習です。今期5回目の小若の練習が行われ、取材に伺ってきました。

大太鼓と笛を先頭に大畑香取神社へ向かう『練り込み』

扇子を携え躍動感のある『扇子踊り』
手踊り
哀愁をおびた念仏調のお囃子で舞われる『手踊り』
 この日は小学生1年生から中学生1年生までの約30名が保存会の若衆方の指導のもと、元気な掛け声と躍動感のある舞をめざし、大粒の汗を流しつつ一生懸命に取り組みました
また、『大畑いきいきクラブ』の大先輩の見学もあり、陣中見舞のお菓子の差し入れには大きな歓声があがりました。
練習は毎週土日に行われ、祭礼当日には江戸時代から引き継がれる伝統の舞が披露されるよう、期待しています!!

展示解説講座「春日部の弥生時代ー須釜遺跡」を開催しました

現在第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」開催中です。
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。

6月16日(日)、展示解説講座「春日部の弥生時代ー須釜遺跡」を開催しました。
春日部市内の弥生時代の遺跡は現在のところ、北部の倉常(くらつね)地区にある須釜(すがま)遺跡のみです。「再葬墓(さいそうぼ)」と呼ばれるお墓のあとが発見され、約30個体の完全な形に近い弥生土器が出土しています。また土器に稲もみが付着していた痕(あと)が残されていて、春日部の地でも弥生時代に稲作が伝わっていたことがわかります。

なぜ、春日部の地に墓を営んだのかなどまだわからないことが多く、疑問は尽きませんが、皆さんに熱心に聴講いただきました。

6月16日展示解説講座

6月23日(日)には、円空仏(えんくうぶつ)について展示解説講座を行います。ご興味がある方はぜひご参加ください。

展示解説講座(その2)「春日部と円空」
 日時:令和元年6月23日(日)10時~11時30分
 場所:教育センター
 講師:当館館長
 定員:50名
 費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。

【未来の先生たち】文教大の皆さんが見学にきました

6月14日(金)文教大学教育学部の学生さんたちが、見学にきました。
学生の皆さんは現在3年生で社会科の教員を目指しているそうです。地域教材の発掘や活用法の習得のため、ゼミでご来館され、先生のご指導のもと、常設展示室の展示資料を解説し合いながら、展示を見学していました。
快く顔出しOKで、解説中の模様を撮影させていただきました。
写真:文京大の皆さん
学生のうちも、学校の先生になっても、またのご利用をお待ちしております!

音楽 市民の皆さんと古文書を読んでいます。

令和元年6月9日(日)春日部市郷土資料館で古文書勉強会を実施しました。
この会では、市民の方々が主体的に市内神間地区ゆかりの江戸時代の古文書=神間村文書(当館所蔵)を解読しています。
今回も前回に引き続いて、寛政7年「御鹿狩ニ付御触書之写」を文字と意味を確認しながら読んでいます。今回担当だった皆さんはこの会が立ち上がった時から参加されているベテランの方々でスムーズに読み進めることができました。内容としては、触書写のパートが終わり、日記形式の記事に入っていきました。「右之通りニ御座候」の解釈をめぐって、激論が交わされました。
あと、1・2回ですべて読み終える予定です。
写真:勉強会の様子
次回は7月13日(土)14時~となります。
ご興味ある方のご参加もお待ちしています。

臨時休館のお知らせ

6月15日(土)は施設点検のため、春日部市郷土資料館は休館いたします。なお6月15日(土)が雨天の場合、6月22日(土)も休館いたします。誠に申し訳ございません。

円空仏群ー指定文化財でめぐる春日部

現在第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」開催中です。
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。

円空仏は、江戸時代の修験僧(しゅげんそう)、円空によって作られた仏像、神像です。春日部市内では、円空仏が22体確認されています。これらは、円空が日光道中や日光御成道(にっこうおなりみち)を使って旅をした際に、彫ったものといわれています。

今回の企画展示では、かつて寺院だったお宅に伝わった迦楼羅(かるら)像と護法神(ごほうじん)像2体の計3体を展示しています。

「護法神」は仏法を護(まも)る神という意味で、梵天(ぼんてん)、帝釈天(たいしゃくてん)、四天王、十二神将、十六善神、二十八部衆などを総称したものです。「護法神像」は、円空の作品に多く、さまざまな姿で登場します。
「迦楼羅」は、インド神話に登場するガルダをもとにしたといわれる鳥の姿をした仏教の守護神です。「護法神」とされる二十八部衆にも加えられています。口から炎を吐き、龍を食べる大きな鳥で、迦楼羅が変化して天狗になったという説もあります。

また、迦楼羅像と25.7㎝の護法神像には、背面に墨書があります。特に護法神像の墨書は、「護世童子(ごせどうじ)」と肉眼でも読み取ることができます。円空の像には、背面などに円空が書いた墨書を残すものが多くあります。

迦楼羅像迦楼羅像16.1㎝


御法神像護法神像25.7cm

御法神像護法神像14.5cm

円空仏について6月23日(日)に展示解説講座を行います。ご興味がある方はぜひご参加ください。

展示解説講座(その2)「春日部と円空」
 日時:令和元年6月23日(日)10時~11時30分
 場所:教育センター
 講師:当館館長
 定員:50名
 費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。

【情報求む】元祖成金鈴木久五郎をご存じ?

鈴木久五郎(きゅうごろう)は、春日部の八丁目出身の実業家で、明治時代「成金」として名をはせた人物です。今夏、春日部市郷土資料館では、鈴木久五郎(通称:鈴久)の半生を紹介する展示会を企画しています。鈴久の事、知らなかった方は、顔と名前だけでも覚えていってください。ご存じの方は、情報を求めています。種々ご教示いただけると幸いです。
明治41年鈴木久五郎(大磯町郷土資料館所蔵)
今回は、展示会でも出品される久五郎の貴重な肖像写真(大磯町郷土資料館所蔵)と、その事績を紹介します。
鈴木久五郎については、『埼玉人物事典』(埼玉県、平成10年)に次のように紹介されています。
明治10年生。昭和18年8月16日没。
株仲買商・衆議院議員。獅子文六『大番』のモデル。八丁目村(春日部市)生まれ。酒造業6代目鈴木兵右衛門の2男。5代目兵右衛門の弟中村清蔵の許で築地商業学校を卒業。兄の7代目兵右衛門が家を継いで明治30年(1897)越ケ谷町(越谷市)に鈴木銀行を設立、同36年久五郎は同銀行草加支店長となった。日露戦争中の37年、株の売買を始めて大儲けをし、成金王の一人となった。中でも、鐘紡の株をめぐる中国人との勝負は、取引所始まって以来のすさまじさといわれた。この年東京小網町(東京都中央区)に同行東京支店が開設されたが、翌38年日比谷焼打ち事件で株式は暴落したため、東京支店の預金を使い、取付け騒ぎが起こった。その後株価は上昇し、39年兜町に株仲買店丸吉を開業、滝沢吉三郎を店主に置き、株式界に本格的に乗り出した。東京鉄道の株を買い占めた後、株式取引所株を買い占めるため、「丙午会」を組織し、増資に成功した。次いで日本精糖株を買い占め、会社役員を辞任に追い込み、監査役に就任、大日本精糖と社名を改称した。このほか、豊鉱石油、日本坩堝各取締役を兼ねた。しかし、40年の日露戦争後反動恐慌によって株式は大暴落し、没落に追い込まれた。41年群馬県高崎市選挙区から中央倶楽部に所属して、衆議院議員に当選、1期務めた。中国の孫文を始め、大隈重信・犬養毅・桂太郎等政界にも交友関係があった。当時の日本を代表する「相場師」の一人である。享年67歳。(参考文献:『一代記鈴木久五郎』

以上の事典の記事は、鈴久の本格的な調査研究はないにもかかわらず、ここまで端的に彼の半生を書いているのは素晴らしいです。しかし、今回展示会開催のための調査を進めていくと、いくつかの新たな事実を確認することができました。今後も、鋭意調査を進めて、展示内容を充実させていきます。

展示会は令和元年7月23日(火)~9月8日(日)を予定しています。乞うご期待。