ほごログ(文化財課ブログ)

カテゴリ:郷土資料館

春日部市内の道しるべ

とある市民の方より、市内の道しるべについて詳しく知りたいとお問い合せをいただきました。
今回は、そんなレファレンスの一コマから、市内の道しるべについて紹介したいと思います。
市内の道しるべについては、『埼葛の道しるべ』(1996年刊)という図書が参考になります。同書は、埼葛地区文化財担当者会という広域行政団体が調査・編集した報告書で、春日部市(旧春日部市・旧庄和町)をはじめ、埼葛地区の道しるべを悉皆調査し、様々な角度から分析しています
当時の調査によれば、市内には72基の道しるべがあるとされています。残念ながら発行部数も少なく、同書の入手は困難を極めています。そこで、同書から市内の道しるべ一覧(みちしるべ.pdf)を示しておきたいと思います。なお、現在は、その後の精緻な調査もあり、市内の道しるべは2基発見され、74基を数え、ここで掲載した道しるべ一覧は、今後も修正・訂正の余地があります。

市内の道しるべとして著名なのは、日光道中に建てられたものです。現在も春日部大通り(旧日光道中)に建てられているものや、郷土資料館で展示しているものもあります。また、小渕の追分にある宝永6年(1709)銘の道しるべは、市内最古であることが知られています。
道しるべの行き先をみると、日光や江戸といった日光道中ゆかりのものや、当時の城下町である関宿・岩槻や、古刹慈恩寺までの指標となったものが多くありますが、一方で、金野井(かなのい)、宝珠花(ほうしゅばな)など江戸川の湊として賑わった河岸や、備後(びんご)など渡船場を行き先にするもの、四国八十八か所を模して行われた庄内領新四国八十八か所の順路を示すものなど、地域色豊かな道しるべも散見されます。
道しるべというと、行き先を示した割と目立つ石塔を想像しがちですが、実は庚申塔等の石造物を兼ねているものが多いことも特徴です(併用道標)。また、江戸時代には多くあったであろう木製の榜示や道しるべは、朽ち果ててしまったと考えられます。路傍の石造物をじっくりみると、新発見の道しるべもまだあるかもしれません。お気づきのことがあれば、ぜひご教示ください。

中野小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました

令和2年1月15日(水)に中野小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました

千歯こき体験

明治時代から現代までの生活の推移を、実物や写真を見て学びました
実際に、千歯こきを使い脱穀体験をしたり

わらじ

素足に ”わらじ” を履いて歩く児童もいました

わらじ

ちなみに感想は「痛い!痛い!」でした

小学校見学の様子

1時間以上、郷土資料館を見学してくれました♪

郷土資料館では、3月22日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催しており、昔の懐かしい道具や写真を展示しています。小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください

【常設展】竪穴式住居模型を作っている木材

春日部市郷土資料館の竪穴式住居の模型は、花積貝塚で確認された縄文時代中期の住居跡をモデルにしています。上屋の構造は、発掘調査で発見される炭化した木材や世界各地の民族事例などから想定したものです。想定している部分は、調査や研究の進展いかんでは、新しいイメージも生まれてきます。たとえば神明貝塚では、近年の調査で土を屋根にふいたと思われる住居跡が確認されています。

さて今回は、模型に使われている木材の木の種類についてご紹介します。資料館の竪穴式住居の模型の木材は、すべて本物の植物を加工して使っています。
まず、中央で屋根を支えている4本の柱とそれを横につないでいる梁(はり)の部分は、コナラを使っています。棟(むね)という、住居の穴の外側から斜めに建てられている材木はスギです。その棟をマス目になるように横につないでいる横材はクリで、この棟と横材の上に屋根になるカヤがのせられています。
コナラやスギ、クリの木材は、縄文時代の遺跡からも炭化した状態で発見されることの多い木です。

木材の違いは樹皮の様子で簡単に見分けられます。ご来館いただいた際は、ぜひご確認ください。
竪穴住居模型

春日部市郷土資料館、三十路を迎えました

あけましておめでとうございます。本年もかわりなく「ほごログ」、そして春日部市の文化財行政と郷土資料館のお引き立てのほどよろしくお願いいたします。
ところで、今年2020年は郷土資料館開館30周年の記念すべき年です。皆様にご愛顧いただき、無事に三十路(みそじ)になりました(まだ数えですが・・・)。

正月早々、手前みそですが、今回は開館当時の資料から「生まれたて」の資料館を紹介したいと思います。

平成2年(1990)7月20日、郷土資料館は、教育センターの1階に開館しました。13時、開館式典のテープカットで、資料館は産声をあげました。
写真:テープカット
テープカットの写真からは、現在、民具等を展示して狭く感じるロビーには、何も置かれず、広々としている様子がわかります。次の写真は開館まもなくに撮られた展示室の写真です。
写真:開館当時の常設展示室
あまり変わり映えしていないようにも見えますが、その後、設置されていったケース、資料、解説パネルなどがありません(当然ですが)。
「広報かすかべ」408号(1990年6月号)には、資料館のオープンを紹介した記事が掲載されています。

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展示室(常設展示)のオープンと同時に開催された開館記念特別展は「粕壁と円空」でした。当時の記事をみると、旧春日部市内の14体の円空仏を展示したそうです。現在は、その後の調査も進み、現市内には22体の円空仏が確認されています。
開館当時の見どころが、竪穴住居と宿場の模型だったこともよくわかりますね。今は手を変え品を変え、収蔵資料で見どころをつくれるよう日々奮闘していますヨ!
開館特別記念講演会には県立博物館(当時)の林宏一先生をお招きして、「埼玉の円空仏」についてご講演いただきました。次の写真は講演会の記録写真です。
写真:最初の記念講演会
現在は満席になることも多い記念講演会ですが、まだ教育センターや資料館、円空仏について認知されていないなか、開館日の翌々日に開催されたので、空席が目立ちますが仕方ありませんね。現在は、多くの皆さまに少しは認知していただるようになったのかなぁと思ったり、思わなかったり。

さて、30周年となる2020年も、より多くの方にご利用いただき、郷土の歴史・文化に親しんでいただけるよう、様々な企画・工夫を凝らしていきたいと思います。三十路になった春日部市郷土資料館を、本年もどうぞ変わりなく、お引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。

ミュージアムトーク「春日部の歴史と2019を振り返る」を開催しました

12月28日(土)、本日は、令和元年の郷土資料館最終開館日でした。
本年も、ご来館いただき誠にありがとうございました。

さて本日は、「かすかべの歴史と2019年を振り返る」をテーマに常設展示のミュージアムトークを開催いたしました。暮れのお忙しい時期にもかかわらず、大勢の方にお越しいただきました。
ミュージアムトークでは、今年のニュースのレジュメをもとに、関連する展示物をご紹介いたしました。
2019年は、改元や台風被害など大きなニュースがありました。これらに関連して現在、市内に伝わった明治の改元の際の恩赦に関する文書や、明治43年の水害被害を記録した文書を常設展示に展示しております。こういった資料は、過去の人々が様々な事象に対してどのように向き合ったのかを如実に伝えてくれているだけではなく、現代を生きる私たちの指標ともなります。
また、7月に世界遺産になった百舌鳥・古市古墳群の大仙古墳(仁徳天皇陵古墳)と市内の塚内古墳群の比較、大仙古墳(仁徳天皇陵古墳)が世界遺産に登録されるにあたっての問題点について、解説いたしました。

2020年の暮れにも、また実施できればと考えております。
どうぞよいお年をお迎えください。


ミュージアムトークの様子
ミュージアムトークの様子